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鉛筆工業は東京都の地場産業に指定され、都内に多くの中小工場がある。当該事業の主たる対象工場は、廃棄物排出量の多い首都圏立地の「木工工場」。 |
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木工工場はスラットと呼ぶ北米産インセンスシダー(ヒノキ科の針葉樹)を資材に成軸加工を主とする。材料の歩留まり率は60%で、40%が細かい木質系廃棄物(おが屑)になる。 |
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各工場は平成10年以前は工場内の焼却炉でこれらを処分したり、近隣の公衆浴場などに供給する形で処理していたが、「煙=ダイオキシン」の批判が高まる中、近隣住民を意識して10年を境に焼却炉の使用を停止した。 |
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処理停止に伴って、あふれだしたおが屑の容積を圧縮・削減することと、工場外に搬出するため、これを廃棄物固形燃料(Refuse Derived Fuel:RDF)化する設備を3工場が10年度内に導入した(東京都地場産業等構造高度化対策事業助成による)。直後の11年7月、「ダイオキシン類対策特別措置法」が施行され、首都圏の鉛筆木工事業者はおが屑を工場内で焼却処分するという選択肢を失った。 |
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「RDF化」したおが屑(写真A)の有価材としての再利用の研究に入った(以降、本事業)。背景にRDF化実現の報道を得て、利用希望の打診が多数組合に入ったことがある |
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粉体素材としての汎用性を広げるため、鉛筆副産物を一定のメッシュに分類する粉砕機を開発した。 |
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粉を固化するための樹脂の検討に入った。ポリプロピリン樹脂との混合によってウッドデッキ等の屋外で使用する木質系建材の生産に成功した。しかし、組合は「本質的にはポリプロピレンは非生分解の樹脂であることから、この点に十分な配慮が必要だ」との結論に達し、環境負荷の少ない生分解性樹脂のリサーチに入った。 |
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とうもろこしから作る天然物利用系修飾デンプン(日本コーンスターチ㈱)が鉛筆副産物と親和性があることをみつけ、これを混合する実験用ミキサーを開発、製法実験を行った。 |
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商品化のサンプルとして、鉛筆木軸材料、吸音材、クッション材、ネコ砂を製造した。これらの商品アイテムは、経済産業省が示す環境・資源循環型経済システムに資する点で選定した。 |
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これらを通じて組合は、実用実験段階ではあるが我が国の鉛筆(木工)工場が「ゼロ・エミッション工場」に到達できる可能性を示唆した。 |